個人経営のお店などでアルバイトをしていると、給料が手渡しで支払われることがありますよね。
銀行振込ではなく現金での支給に「ちょっと不安…」「税金の処理はどうしたらいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、給料手渡しのバイトをしている方向けに、確定申告の必要性や手続き方法について初心者にもわかりやすく解説します。
現金で給料をもらうことはやましいことではありませんが、知っておくべきポイントをしっかり押さえて、トラブルなく働き続けましょう。
給料手渡しのバイトは違法?確定申告は必要?

手渡しで給料をもらうと「なんだか脱税してるみたい…」と不安になる方もいるかもしれませんが、実は給料を手渡しで受け取ること自体は全く問題ありません。
むしろ労働基準法では、現金での直接支払いが原則とされているほどです。
ただし、税金の観点からは確認すべき点がいくつかあります。給料の支払い方法と税金の関係、そして確定申告の必要性について基本から説明していきましょう。
給料手渡しのバイトが多い個人経営の実態
個人経営のお店や企業では、給料を手渡しで支払うケースがまだまだ多く見られます。
特に小さな飲食店や小売店、整体院やエステサロンなどのサービス業で多い傾向があります。なぜ個人経営のお店では手渡しが多いのでしょうか?
理由はいくつかありますが、まず大きいのは「事務手続きの簡略化」です。銀行振込だと振込手数料がかかるうえ、振込処理のための時間も必要になります。
スタッフが数人程度の小規模店舗では、シフト終わりにレジからバイト代を支払った方が手間が少ないというわけです。
東京・下北沢にある個人経営のカフェでアルバイトをしていた大学生の話では、「シフトが終わると店長が『はい、今日の分ね』と封筒に入れて手渡してくれる。
時給1,100円で5時間働いたら5,500円がその日のうちにもらえるからうれしい」とのこと。即日払いで現金がすぐにもらえるのは、学生や主婦のアルバイターにとってはメリットと感じる方も多いようです。
また、最近では「日払い」や「週払い」といった短期間での給料支払いを売りにしている求人も増えています。こうした場合も、振込よりも現金手渡しの方が早く給料を渡せるため、採用されることが多いです。
ただし、現金手渡しには注意点もあります。まず給与明細がきちんと発行されているか確認しましょう。
明細が出されない場合は、自分で働いた日時や受け取った金額をメモしておくことが大切です。後々のトラブル防止になりますし、確定申告が必要になった場合の資料にもなります。
コンビニのアルバイトからカフェ、居酒屋まで多様なバイト経験を持つフリーターの方は「明細がないと実際にいくら受け取ったのか後で確認できないし、税金の処理もどうなっているのかわからなくて不安」と話しています。
確かに、明細がないと後から「そんなに支払っていない」と言われてしまったら証拠がありませんよね。
さらに、給料手渡しの個人経営店には源泉徴収(給料から所得税を差し引いて納税すること)をきちんと行っていないケースもあります。これが確定申告の必要性とも関わってくるので、次の項目で詳しく見ていきましょう。
確定申告の必要性を判断するポイント
給料が手渡しであっても確定申告が必要かどうかは、以下のポイントで決まります。
まず確認すべきは「源泉徴収されているかどうか」です。これは給与明細を見れば分かります。「所得税」や「源泉徴収税」という項目があり、金額が差し引かれていれば、雇用主が代わりに税金を納めてくれているため、基本的には確定申告は不要です。
しかし、源泉徴収されていない場合や明細自体がない場合は注意が必要です。この場合、あなた自身で税金を計算して納める必要があります。ただし、年間の給料収入が103万円以下であれば、所得税はかからないため、確定申告は通常不要です。
また、複数のバイト先で働いている「ダブルワーク」や「掛け持ち」の場合も確認が必要です。
各バイト先では他の収入を知らないため、それぞれの勤務先で独立して源泉徴収が行われています。全ての収入を合計した場合に103万円を超えるなら、確定申告が必要になることがあります。
例えば、カフェのバイトで年間70万円、塾講師のバイトで年間50万円を稼いでいる場合、トータルで120万円となるため、確定申告が必要になるケースがあります。
個人経営の居酒屋とコンビニでダブルワークをしていた方の体験談によると、「最初は確定申告なんて知らなかったけど、税務署から『収入が合計103万円を超えているので申告してください』というお知らせが来てびっくりした」とのこと。バイトを掛け持ちしている場合は特に注意が必要です。
さらに、住民税の申告も忘れてはいけません。所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要ですが、確定申告が不要な場合でも住民税の申告は別途必要な場合があります。
これを怠ると、後から一括で請求されるケースもあるので気をつけましょう。
以下のケースでは確定申告が必要になる可能性が高いので、チェックしてみてください:
- 給与明細に所得税の記載がない(源泉徴収されていない)
- 複数のバイト先があり、合計の年収が103万円を超える
- 雇用主から「確定申告は自分でしてね」と言われた
- 年末調整をしていない、または一部のバイト先でしか行っていない
確定申告が必要か判断に迷ったら、税務署に相談するのが一番確実です。「確定申告についての相談」と伝えれば、丁寧に対応してくれますよ。
給料手渡しのバイトで確定申告が必要なケース

給料手渡しのバイトをしている場合、どのようなケースで確定申告が必要になるのでしょうか。
ここでは具体的な事例をもとに、確定申告が必要なケースとその理由について詳しく解説します。自分の状況に当てはまるか確認して、適切に対応しましょう。
源泉徴収がない場合の対応方法
個人経営のお店などでは、源泉徴収を行っていないケースがあります。
源泉徴収とは、雇用主があなたの給料から所得税を差し引き、代わりに納税してくれる制度です。この源泉徴収が行われていない場合、あなた自身で確定申告をして税金を納める必要があります。
源泉徴収がされているかどうかは、給与明細を見れば分かります。明細の「控除」の欄に「所得税」や「源泉徴収税」という項目があり、金額が差し引かれていれば源泉徴収がされています。
しかし、明細自体がない、または所得税の記載がない場合は、源泉徴収されていない可能性が高いです。
渋谷の古着屋でアルバイトをしていた方の例では、「毎回レジから現金で手渡しされるだけで、明細も何もなかった。後から税金のことを調べて、自分で確定申告しなきゃいけないことに気づいた」とのことです。
このように、特に小規模な個人経営店では源泉徴収の手続きを省略しているケースがあります。
しかし、源泉徴収がなくても、年間の給料収入が103万円以下であれば、所得税はかからないため、確定申告は通常不要です。
例えば、週3日、1日5時間、時給1,000円で働いた場合、年間の収入は約78万円(1,000円×5時間×3日×52週)となり、103万円以下なので確定申告は不要です。
また、学生の場合は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していれば、月収8万8,000円未満であれば源泉徴収されないことが一般的です。この場合も確定申告は不要です。
ただし、年間の給料収入が103万円を超える場合は、自分で確定申告をして所得税を納める必要があります。
例えば、時給1,200円で週5日、1日6時間働くと、年間収入は約187万円(1,200円×6時間×5日×52週)となり、確定申告が必要です。
源泉徴収されていない場合の確定申告は以下の手順で行います:
- 1年間の給料の合計額を計算する(給与明細や自分のメモを基に)
- 給与所得控除(給料から一定額を差し引ける制度)を適用する
- 所得控除(基礎控除など)を適用する
- 課税所得金額に税率をかけて所得税額を計算する
- 確定申告書を作成し、税務署に提出する
特に初めて確定申告をする方は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利です。画面の指示に従って情報を入力すれば、自動的に確定申告書が作成できます。
また、税務署の窓口でも相談に乗ってもらえるので、不安な場合は直接相談してみるとよいでしょう。
複数のバイトを掛け持ちしている場合
複数のバイト先で働いている「ダブルワーク」や「掛け持ち」の場合、確定申告が必要になるケースがあります。
これは、各バイト先では他のバイト先での収入を知らないため、それぞれの勤務先で独立して源泉徴収が行われるからです。
全てのバイト先での収入を合計した金額が103万円を超える場合、確定申告が必要になります。
例えば、個人経営のカフェで年間60万円、大手コンビニチェーンで年間50万円を稼いでいる場合、トータルで110万円となるため、確定申告が必要です。
また、一つのバイト先でだけ年末調整を受けている場合でも、他のバイト先の収入も合わせて確定申告が必要になることがあります。
年末調整とは、会社が従業員の1年間の所得税を最終的に計算し、過不足を調整する手続きです。しかし、年末調整はその会社での収入のみを対象としているため、他のバイト先の収入は反映されません。
例えば、メインのバイト先では年末調整をしているけれど、副業の個人経営店のバイトでは源泉徴収も年末調整もしていない場合、両方の収入を合計して自分で確定申告する必要があります。
複数のバイトを掛け持ちしている場合の確定申告は、以下の手順で行います:
- 全てのバイト先からの年間給料の合計額を計算する
- 各バイト先から源泉徴収票をもらう(発行してもらえない場合は、自分で収入を記録しておく)
- 給与所得控除を適用し、所得金額を計算する
- 所得控除(基礎控除など)を適用する
- 課税所得金額に税率をかけて所得税額を計算する
- すでに源泉徴収された税金がある場合はそれを差し引く
- 確定申告書を作成し、税務署に提出する
大学3年生でカフェと塾講師のバイトを掛け持ちしていた方の体験談によると、「最初は確定申告なんて知らなかったけど、友達に『合計で103万円を超えてるなら申告した方がいいよ』と言われて調べたら、本当に必要だった。
税務署の相談窓口で丁寧に教えてもらえたので、思ったより簡単に済ませられた」とのことです。
不安な場合は、早めに税務署に相談することをおすすめします。確定申告期間(毎年2月16日から3月15日)は混雑するので、余裕をもって準備しましょう。
確定申告の方法と必要な準備

給料手渡しのバイトをしていて確定申告が必要だと分かったら、どのように準備し、申告すればよいのでしょうか。初めての確定申告は不安かもしれませんが、手順を踏んで準備すれば難しくありません。
ここでは、確定申告に必要な書類や手続きの流れ、申告時期や提出方法について詳しく解説します。
確定申告に必要な書類と手続きの流れ
確定申告をするためには、まず必要な書類を揃える必要があります。給料手渡しのバイトをしている場合、特に以下の書類や情報を準備しましょう:
- 源泉徴収票(勤務先から発行されていれば)
- 給与明細書(1年分)
- 勤務日や給料の記録(自分でメモしたもの)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
- 銀行口座の情報(還付金を受け取る場合)
源泉徴収票や給与明細書は、雇用主に請求すれば発行してもらえるはずです。もし発行してもらえない場合は、自分で記録した勤務日数や給料の記録を基に申告することになります。
この場合、日付・勤務時間・受け取った金額を正確に記録しておくことが重要です。
高円寺の古着屋でバイトしていた方は「給与明細がなかったから、毎回シフト終わりに受け取った金額をスマホのメモアプリに記録していた。
それが確定申告の時に役立った」と話しています。このように、給料手渡しの場合は特に自分で記録をつける習慣をつけておくとよいでしょう。
確定申告の手続きの流れは以下のとおりです:
- 収入の合計を計算する
- 1年間(1月1日から12月31日まで)の給料の合計額を計算します。
- 複数のバイト先がある場合は、全ての収入を合算します。
- 所得金額を計算する
- 給与所得控除(給料から一定額を差し引ける制度)を適用します。
- 例えば、給与収入が200万円の場合、給与所得控除額は55万円なので、所得金額は145万円となります。
- 課税所得金額を計算する
- 所得金額から基礎控除(48万円)などの各種控除を差し引きます。
- 例えば、所得金額が145万円の場合、基礎控除48万円を引くと、課税所得金額は97万円となります。
- 所得税額を計算する
- 課税所得金額に税率をかけて所得税額を計算します。
- 195万円以下の部分には5%の税率が適用されます。
- 例えば、課税所得金額が97万円の場合、97万円×5%=48,500円が所得税額となります。
- 確定申告書を作成する
- 国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利です。
- 必要事項を入力すれば、自動的に確定申告書が作成できます。
- 確定申告書を提出する
- 作成した確定申告書を税務署に提出します。
- 郵送、電子申告(e-Tax)、税務署の窓口での提出が可能です。
初めての確定申告は難しく感じるかもしれませんが、国税庁のウェブサイトや税務署の窓口で丁寧に教えてもらえるので安心してください。
「最初は難しそうだと思ったけど、税務署の人が親切に教えてくれて思ったよりスムーズに終わった」という声も多く聞かれます。
確定申告の時期と提出方法のポイント
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。この期間を過ぎると原則として申告できなくなるので、期限には十分注意しましょう。特に初めて確定申告をする場合は、早めに準備を始めることをおすすめします。
確定申告書の提出方法は、主に以下の3つがあります:
- 税務署の窓口に直接持参
- 初めての方は窓口で相談しながら申告できるので安心です。
- ただし、確定申告期間中は窓口が混雑するので、時間に余裕をもって行きましょう。
- 郵送で提出
- 確定申告書を書留などで税務署に郵送します。
- 控えが必要な場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封します。
- e-Tax(電子申告)で提出
- インターネットを通じて電子的に申告する方法です。
- マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、自宅から申告できて便利です。
- スマートフォンからでも申告可能です。
給料手渡しのバイトをしている方で初めて確定申告をする場合は、分からないことが多いと思うので、まずは税務署の窓口で相談することをおすすめします。
申告期間中は税務署に「確定申告相談会場」が設置され、専門の相談員が対応してくれます。
確定申告の時期に税務署が混雑することは有名ですが、実は平日の午前中や月初めは比較的空いていることが多いです。
「3月上旬の平日午前中に行ったら、ほとんど待たずに相談できた」という体験談もあります。また、最近では税務署によっては事前予約制度を導入しているところもあるので、予約できれば待ち時間なく相談できます。
確定申告書の作成に不安がある場合は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用するとよいでしょう。
このサイトでは、画面の指示に従って情報を入力していくだけで確定申告書が作成できます。作成した申告書はプリントアウトして税務署に持参するか、e-Taxで電子申告することができます。
スマートフォンを使って申告する方法も増えています。「確定申告書等作成コーナー」はスマートフォン対応しており、マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、自宅から申告書の作成・提出まで完結できます。
「去年はスマホで確定申告したけど、思ったより簡単だった」という声も聞かれます。
確定申告で税金を納める必要がある場合は、納付書を使って銀行やコンビニ、インターネットバンキングなどで支払います。
逆に、源泉徴収されていた税金が還付される場合は、申告書に記入した銀行口座に後日振り込まれます。
給料手渡しのバイトをしている場合、源泉徴収されていないことが多いので、確定申告で税金を納める必要があるケースが多いでしょう。
しかし、他の控除(医療費控除など)がある場合は、還付される可能性もあります。
最後に、確定申告は毎年必要なものなので、給料手渡しのバイトを続ける限り、毎年の確定申告時期に申告する習慣をつけるとよいでしょう。
また、確定申告に必要な書類や記録は少なくとも5年間は保管しておくことが法律で定められているので、大切に保管しておいてください。
もし確定申告について不安なことがあれば、お近くの税務署に問い合わせるか、国税庁のホームページを参考にしてみてください。
確定申告は最初は難しく感じるかもしれませんが、一度経験すれば次からはスムーズに進められるようになりますよ。
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