「衛星契約と地上契約って何が違うの?」「マンションに住んでいるけど自動的に衛星契約になるの?」こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
NHK受信料の仕組みは複雑で、知らず知らずのうちに必要以上に支払っているかもしれません。実は契約タイプによって年間1万円以上も差があるんです!
この記事では、NHK受信料の仕組みや地上契約と衛星契約の違い、そして適切な契約に変更する方法について分かりやすく解説します。
NHK受信料の基本:地上契約と衛星契約の違いとは

NHKの受信料制度は、テレビなどの受信機器を設置した方に契約義務を課しています。
しかし、契約には「地上契約」と「衛星契約」の2種類があり、設置している機器によって契約すべき種類が変わってきます。
ただ、実際に何を視聴しているかではなく、何が受信できる環境にあるかが重要です。両者の違いを正しく理解して、適切な契約を結びましょう。
受信設備の種類で決まる契約タイプ
NHKの受信契約は、あなたが実際に何を視聴しているかではなく、どのような放送を受信できる設備を持っているかによって決まります。これはとても重要なポイントです。
地上契約の対象となるのは「地上系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置した者」です。
つまり、地デジ放送だけを受信できるテレビやチューナーを持っている場合は、地上契約になります。
一方、衛星契約の対象となるのは「衛星系によるテレビジョン放送を受信できるテレビジョン受信機を設置した者」です。
BS・CS放送が視聴できる機器を持っている場合は、実際にBS・CS放送を見ているかどうかに関わらず、衛星契約が必要になります。
例えば、最近のテレビは地デジとBS・CSの両方に対応している機種が多いため、そのようなテレビを持っていると衛星契約が必要になります。
また、ケーブルテレビやひかりTVなどと契約している場合も、BS放送を受信できる環境にあるため、衛星契約の対象になることが多いです。
「でも、BS放送は見ていないのに…」と思われるかもしれませんが、現行の制度では視聴の有無ではなく、受信可能な環境があるかどうかが基準となっています。これが多くの人が混乱する点でもあります。
料金の差は年間で約1万円!
地上契約と衛星契約では、支払う受信料に大きな差があります。2ヶ月払いの場合、料金は以下のようになっています:
- 地上契約:2,200円(2ヶ月分)
- 衛星契約:3,900円(2ヶ月分)
年間で計算すると、地上契約は13,200円、衛星契約は23,400円となり、その差額は約10,000円にもなります。さらに前払い割引を利用すると、12ヶ月一括払いの場合は:
- 地上契約:12,276円
- 衛星契約:21,765円
となり、この場合も差額は約9,500円と大きいです。
「えっ、そんなに違うの?」と驚かれる方も多いでしょう。BS放送をほとんど見ない方にとっては、この差額は決して小さくないはずです。だからこそ、自分の視聴環境に合った適切な契約を選ぶことが大切なんです。
マンションやアパートでよくある問題と解決法

最近の集合住宅では、共同アンテナで衛星放送を受信できる設備が整っていることが多く、そのため自動的に衛星契約となるケースが一般的です。
しかし、実際にはBS放送を視聴しない世帯も多いはず。そんな方々のために、マンションに住みながらも地上契約にする方法を解説します。
マンションでも条件次第で地上契約は可能
「マンションに住んでいるから、自動的に衛星契約になるんでしょ?」と思っている方も多いかもしれませんが、実はそうではありません。
確かにマンションの多くは共同アンテナでBS・CS放送を受信できる環境が整っていますが、重要なのはあなたの家庭内の受信機器です。
マンションに衛星放送の受信設備があっても、あなたの家庭内に衛星放送を受信できる機器がなければ、地上契約へ変更することができます。具体的には、以下の条件を満たしていれば地上契約が可能です:
- テレビやレコーダーにBS・CSチューナーが内蔵されていない
- ケーブルテレビやひかりTVなどのBS放送を含むサービスと契約していない
- 外付けのBS・CSチューナーを持っていない
例えば、地デジ専用のテレビだけを使用している場合や、BS・CSチューナー非搭載のテレビを使っている場合は、マンションに住んでいても地上契約で構いません。
「でも、マンションの共同アンテナがあるからダメなんじゃない?」と心配される方もいるかもしれませんが、共同アンテナの存在だけでは衛星契約の対象にはなりません。
あくまで家庭内で実際に衛星放送を受信できる機器があるかどうかが基準です。
衛星契約から地上契約への変更手続き方法
衛星放送を受信できる機器がないにもかかわらず衛星契約をしていると、年間約1万円も余分に支払っていることになります。そんな方は、以下の手順で地上契約への変更手続きを行いましょう。
- 衛星放送の受信設備がないことを確認する まずは自宅のテレビやレコーダーがBS・CSチューナーを内蔵していないことを確認しましょう。製品の取扱説明書や製品名で検索すると、対応している放送方式がわかります。また、ケーブルテレビやひかりTVなどとの契約状況も確認してください。
- NHKふれあいセンターに電話をかける 衛星契約から地上契約への変更は、インターネットでは手続きできません。NHKふれあいセンターに電話して「衛星放送を受信できる機器がないので地上契約に変更したい」と伝えましょう。
- 契約変更書類に記入して返送する 電話後、「放送受信契約書(契約種別変更)」という書類が送られてきます。必要事項を記入して返送すれば手続き完了です。
ここで注意したいのは、NHKの訪問集金人は必ずしも受信環境を詳しく確認しないということです。集金人は出来高制で働いていることも多く、衛星契約を勧められた場合でも、自宅の受信環境に合わせて適切な契約を選ぶことが大切です。
「電話するのが面倒…」と思われるかもしれませんが、年間約1万円の節約のために少し時間を使うことは十分価値があるはずです。手続き自体はそれほど複雑ではありませんので、ぜひチャレンジしてみてください。
NHK受信料の仕組みと視聴者にとってのメリット

NHKの受信料制度については賛否両論ありますが、この制度には視聴者にとっていくつかのメリットもあります。
ここでは、なぜNHKに受信料があるのか、そして視聴者にとってどのようなメリットがあるのかを解説します。
公共放送としてのNHKと受信料の意義
NHKは日本の公共放送として位置づけられており、民間放送局とは異なる役割を持っています。公共放送であるNHKが受信料制度を採用している主な理由は以下のとおりです:
- 放送の自主性と独立性の確保: 特定のスポンサーや広告主の影響を受けずに、公平・公正な報道や番組制作を行うため。
- 国民の生命・財産を守る使命: 災害時の緊急報道など、視聴率や採算を度外視しても提供すべき重要な情報を伝えるため。
- 文化・教育の向上への貢献: 商業的な成功が見込めなくても、文化的・教育的価値の高いコンテンツを制作・放送するため。
放送法第64条第1項では「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定められています。これが受信料制度の法的根拠となっています。
「でも、見てもいないのに支払うのは納得いかない…」と感じる方も多いでしょう。しかし、この制度は「公共の福祉」を目的とした社会的な仕組みとして存在しています。災害時の情報提供など、いざというときに役立つ公共サービスを維持するためのコストと考えることもできますね。
視聴者が得られるメリット
NHKの受信料制度には、視聴者にとって以下のようなメリットもあります:
- コマーシャルなしで番組を楽しめる: 民間放送のように広告で中断されることなく、番組を視聴できます。
- 視聴率に左右されない番組制作: 視聴率が低くても、価値のある番組が継続して放送されます。教養・教育番組や、マイナーなジャンルのドキュメンタリーなども充実しています。
- 特定の利益に影響されない報道: 広告主や特定の組織の影響を受けずに、独立した立場での報道が可能になります。
- 視聴者の意見を反映しやすい: 視聴者がスポンサーとなる形なので、視聴者の意見や要望が番組制作に反映されやすい環境があります。
「確かに災害報道や教育番組は役立つかも」と感じる方も多いのではないでしょうか。公共放送としてのNHKには、民間放送にはない独自の役割と価値があります。
受信料を抑える方法と注意点

NHK受信料を全額払わなくてはいけないケースでも、少しでも負担を減らす方法があります。また、受信料を支払わない場合のリスクについても知っておきましょう。
割引制度を活用しよう
NHKでは、いくつかの割引制度を設けています。代表的なものは以下のとおりです:
- 前払い割引: 6ヶ月や12ヶ月分をまとめて前払いすると割引が適用されます。12ヶ月前払いの場合、2ヶ月払いを6回行うよりも約1ヶ月分安くなります。
- 家族割引: 同一生計の複数の方がそれぞれ契約している場合や、同一の契約者が複数の受信契約を結んでいる場合、2契約目以降は半額になります。
- 団体一括支払での割引: ケーブルテレビなどの団体を通じて衛星契約の受信料を支払う場合、月額180円の割引が適用されます。
例えば、衛星契約で12ヶ月前払いを利用すると、年間で21,765円です。2ヶ月ごとに支払う場合と比べると、約1,600円お得になります。さらに家族割引が適用されれば、年間10,882円まで下がります。
「少しでも節約したい」という方は、これらの割引制度の活用も検討してみてはいかがでしょうか。支払い方法を変えるだけで、年間数千円の節約になるケースもあります。
受信料未払いのリスクについて
NHKの受信料を支払わなかった場合、以下のようなことが起こる可能性があります:
- 請求書が届く: まずは通常の請求書が送られてきます。
- 集金人が訪問する: 支払いがない場合、集金人が自宅を訪問することがあります。
- 裁判を起こされる可能性: 長期間支払いがない場合、NHKが支払いを求めて裁判を起こすケースがあります。最高裁は受信料の支払い義務を認める判決を出しています。
- 財産差し押さえのリスク: 裁判で敗訴した場合、強制執行により財産を差し押さえられる可能性もあります。
ただし、刑事罰が科されることはありません。あくまで民事上の問題としての対応です。
「裁判沙汰になるのは面倒だな…」と思われる方も多いでしょう。確かに裁判には時間と労力がかかりますし、結果的に未払い分に加えて延滞金や裁判費用などを支払うことになる可能性もあります。長期的に見れば、正しい契約をして適切に支払う方が安心かもしれませんね。
まとめ:自分の環境に合った契約を選ぼう
NHKの地上契約と衛星契約の違いについて理解できましたか?適切な契約を選ぶことで、年間約1万円もの節約につながる可能性があります。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
- 契約種別は視聴の有無ではなく受信設備で決まる: 実際に見ているかどうかではなく、受信可能な環境があるかどうかが基準です。
- 地上契約と衛星契約では年間約1万円の差がある: 無駄に衛星契約をしていないか確認しましょう。
- マンションでも地上契約は可能: 共同アンテナがあっても、家庭内にBS・CS受信機器がなければ地上契約に変更できます。
- 契約変更はNHKふれあいセンターへの電話から: インターネットでは手続きできないため、電話での連絡が必要です。
- 割引制度を活用して負担を減らす: 前払い割引や家族割引を利用すれば、さらに支払額を抑えられます。
あなたの家庭の受信環境を今一度確認してみてはいかがでしょうか。「実はBS・CSを受信できる機器がなかった」という場合は、地上契約への変更手続きを検討してみましょう。年間約1万円の節約は、家計にとって決して小さな金額ではありません。
この記事が、NHK受信料についての理解を深め、適切な契約選択のお役に立てば幸いです。あなたの家庭に最適な契約で、賢く節約しましょう!

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