「土地を相続したけれど、固定資産税がどのくらいかかるのか心配」「100坪の更地って、本当に税金が高いの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、同じ100坪の土地でも、更地なのか住宅が建っているのかで固定資産税は大幅に変わってきます。
この記事では、100坪の土地にかかる固定資産税について、計算方法から節税のポイントまで、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説していきます。
固定資産税の仕組みと計算方法を理解しよう

「固定資産税って、どうやって決まるの?」という疑問から始めましょう。固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課せられる地方税です。税額の計算は一見複雑に見えますが、基本的な仕組みを理解すれば決して難しくありません。
固定資産税の基本的な計算式
固定資産税の計算は、以下の式で求められます: 固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(1.4%)
この計算式自体はシンプルですが、重要なのは「課税標準額」がどのように決まるかということです。課税標準額は、土地の評価額を基に算出されますが、土地の利用状況によって大きく変わることがあります。
土地の評価額はどう決まる?
土地の評価額は、国が毎年発表する「地価公示価格」を基準として決められます。一般的に、固定資産税の評価額は地価公示価格の約70%となるよう設定されています。
例えば、地価公示価格が1坪あたり10万円の土地であれば、固定資産税の評価額は1坪あたり7万円程度になります。100坪の土地なら、評価額は700万円という計算になるわけです。
ただし、この評価額がそのまま課税標準額になるとは限りません。土地の利用状況や特例措置によって、課税標準額は大きく変わることがあります。
100坪の更地の固定資産税を実際に計算してみよう
それでは、具体的な例を使って100坪の更地の固定資産税を計算してみましょう。
計算条件
- 地価公示価格:1坪あたり10万円
- 土地面積:100坪
- 土地の状況:更地(建物なし)
計算過程
- 地価公示価格の総額:10万円 × 100坪 = 1,000万円
- 固定資産税評価額:1,000万円 × 70% = 700万円
- 課税標準額:700万円(更地の場合、特例なし)
- 固定資産税額:700万円 × 1.4% = 9万8,000円
つまり、地価公示価格が1坪10万円の100坪の更地では、年間約9万8,000円の固定資産税がかかることになります。
これに加えて、市街化区域内の土地では都市計画税(税率0.3%)も課せられるため、実際の税負担はさらに大きくなります。都市計画税を含めると、合計で約11万9,000円の税金を毎年支払うことになります。
住宅用地特例で税額が劇的に変わる理由
「住宅が建っていると税金が安くなるって本当?」その通りです!住宅が建っている土地には「住宅用地特例」という非常に有利な特例措置が適用されます。この特例により、固定資産税の課税標準額が大幅に減額されるのです。
住宅用地特例の仕組み
住宅用地特例は、住宅の規模に応じて2つの区分に分かれています:
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
- 固定資産税:課税標準額が6分の1に減額
- 都市計画税:課税標準額が3分の1に減額
一般住宅用地(200㎡を超える部分)
- 固定資産税:課税標準額が3分の1に減額
- 都市計画税:課税標準額が3分の2に減額
100坪の住宅用地の固定資産税を計算してみよう
100坪は約330㎡なので、住宅用地特例を適用すると以下のように分かれます:
- 小規模住宅用地:200㎡(約60.5坪)
- 一般住宅用地:130㎡(約39.5坪)
同じ条件(地価公示価格1坪10万円)で計算してみましょう:
小規模住宅用地部分(約60.5坪)
- 評価額:60.5坪 × 7万円 = 423万5,000円
- 課税標準額:423万5,000円 ÷ 6 = 70万5,833円
- 固定資産税:70万5,833円 × 1.4% = 9,882円
一般住宅用地部分(約39.5坪)
- 評価額:39.5坪 × 7万円 = 276万5,000円
- 課税標準額:276万5,000円 ÷ 3 = 92万1,667円
- 固定資産税:92万1,667円 × 1.4% = 1万2,903円
合計固定資産税:9,882円 + 1万2,903円 = 2万2,785円
なんと、更地の場合と比べて約7万5,000円も安くなります!これが「更地の固定資産税が一番高い」と言われる理由なのです。
住宅用地特例適用の条件
住宅用地特例を受けるには、いくつかの条件があります:
- 専用住宅の敷地であること
- 併用住宅の場合は、住宅部分の床面積が全体の4分の1以上であること
- 住宅の敷地として使用されている土地であること
- 家屋の床面積の10倍以内の土地であること
これらの条件を満たしていれば、特例を受けることができます。
地域による固定資産税の違いと相場
「固定資産税って、どこに住んでも同じ?」実は、土地の価格は地域によって大きく異なるため、固定資産税も地域差が非常に大きいのが現実です。
主要都市の100坪土地の固定資産税相場
2024年の公示地価を基に、主要都市の100坪の土地の固定資産税を概算してみましょう:
東京都(平均)
- 1坪あたり公示地価:約375万円
- 100坪の更地の固定資産税:約367万円
大阪府(平均)
- 1坪あたり公示地価:約105万円
- 100坪の更地の固定資産税:約103万円
愛知県(平均)
- 1坪あたり公示地価:約69万円
- 100坪の更地の固定資産税:約67万円
福岡県(平均)
- 1坪あたり公示地価:約60万円
- 100坪の更地の固定資産税:約59万円
北海道(平均)
- 1坪あたり公示地価:約23万円
- 100坪の更地の固定資産税:約23万円
このように、同じ100坪でも地域によって固定資産税は数十倍の差が生まれることがあります。
住宅街と商業地域での違い
同じ市内でも、用途地域によって地価は大きく異なります:
住宅地域 一般的に地価は比較的安定しており、住宅用地特例も適用されやすい環境です。
商業地域 駅周辺や繁華街では地価が高く設定されているため、固定資産税も高額になる傾向があります。
工業地域 住宅地域と比べて地価は低めですが、住宅を建てることに制限がある場合もあります。
まとめ
100坪の土地の固定資産税について、いかがでしたでしょうか。更地の場合は年間10万円前後の高額な税金がかかる一方で、住宅を建てることで大幅な節税が可能であることがお分かりいただけたと思います。
重要なポイントをまとめると、以下の通りです:
地価公示価格1坪10万円の100坪の更地では、年間約9万8,000円の固定資産税がかかります。同じ条件で住宅を建てた場合、住宅用地特例により約2万3,000円まで減額され、7万円以上の節税効果があります。地域によって土地価格は大きく異なるため、固定資産税も数十倍の差が生まれることがあります。
土地活用を検討している方は、単に節税だけでなく、収益性や将来性も含めて総合的に判断することが大切です。専門家に相談しながら、最適な活用方法を見つけていきましょう。
- 100坪の更地の固定資産税はいくらくらいかかりますか?
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100坪の更地の固定資産税は地価によって大きく異なります。例えば、地価公示価格が1坪10万円の土地では、年間約9万8,000円の固定資産税がかかります。都市計画税も含めると約11万9,000円になります。東京都心部のような高額な土地では、年間数百万円になることもあります。
- 住宅を建てると固定資産税はどのくらい安くなりますか?
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住宅を建てることで住宅用地特例が適用され、大幅な節税効果があります。100坪の土地の場合、200㎡以下の部分は課税標準額が6分の1に、200㎡を超える部分は3分の1に減額されます。地価公示価格1坪10万円の例では、更地時の約9万8,000円から約2万3,000円に減額され、年間約7万5,000円の節税効果があります。
- 固定資産税を節約する方法はありますか?
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最も効果的な節税方法は住宅を建てて住宅用地特例を受けることです。自分が住まない場合でも、賃貸住宅を建てることで特例適用と家賃収入の両方を得ることができます。その他、駐車場経営、太陽光発電事業、コインランドリー経営などの土地活用により、固定資産税を上回る収益を得ることも可能です。また、評価額に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることもできます。
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